貸倒引当金

-評価勘定-
他の勘定に付随して、その勘定の金額を修正表示する勘定をいいます。
評価勘定自体は独立した意味を持ちません。
ある勘定に加算して修正を示す場合(付加勘定)と、減産して修正を示す場合(控除勘定)の
2つに分類されます。

【簿記3級での評価勘定】
・減価償却累計額勘定 → 資産に対する控除勘定
・貸倒引当金 → 資産に対する控除勘定
・引出金勘定 → 純資産に対する控除勘定


-貸倒引当金-
【貸倒引当金】
貸倒れを想定して、前もって費用に計上しておくことをいいます。
●貸倒れ
  債権が回収できなくなることをいいます。
●引当金(3級は貸倒引当金のみ)
  ・次期以降に発生する可能性が高い費用(または損失)について、
    その原因が生じた当期の会計期間に費用として計上するために設定されるものです。
  ・実際に貸倒れが生じたわけではないので、その費用の貸方項目として設定されます。

【売上債権】
貸倒引当金の設定対象は、3級の場合売上債権になります。
・売上債権
  売掛金と受取手形の合計を「売上債権」といいます。


-貸倒見積額-
【実績法(3級範囲)】
貸倒見積額の算定方法の一つです。
売上債権に貸倒実績率を乗じて算定します。
  ※貸倒実績率
      過去の貸倒れの実績を率で表したものです。



-記帳/設定時-
【貸倒引当金を初めて設定する時(或は期末に貸倒引当金の残高がない時)】
記帳は、貸倒引当金勘定(資産のマイナス)貸倒引当金繰入勘定(費用)を使います。

・貸倒見積額を、貸倒引当金勘定の増加として貸方に記入します。
・貸倒見積額を、貸倒引当金繰入勘定の発生として借方に記入します。


【前期末に設定した貸倒引当金の残高がある時】
当期末の貸倒引当金を設定するときに、前期末に設定した貸倒引当金が残っている場合は
差額補充法によって処理をします。
※差額補充法
    当期の貸倒見積額と、前期に設定した貸倒引当金勘定の残高との差額分を補充する方法です。

●貸倒見積額 > 貸倒引当金勘定残高
  ・差額分を費用として計上する処理をします。

・繰入額を、貸倒引当金勘定の増加として貸方に記入します。
・繰入額を、貸倒引当金繰入勘定の発生として借方に記入します。



●貸倒見積額 < 貸倒引当金勘定残高
記帳は、貸倒引当金戻入勘定(収益)を使います。
差額(超過)分を収益として戻し入れる処理をします。
  ※「貸倒引当金戻入」は日商簿記1級の範囲(平成23年出題区分の改定より)

・戻入額を、貸倒引当金勘定の減少として借方に記入します。
・戻入額を、貸倒引当金戻入勘定の発生として貸方に記入します。




-記帳/貸倒時-
●貸倒引当金残高がない場合(或は設定していない場合)
・貸倒額を、貸倒損失勘定(費用)の発生として借方に記入します。
・貸倒額を、売掛金勘定などの減少として貸方に記入します。



●貸倒引当金残高 > 貸倒発生額
・貸倒額を、貸倒引当金勘定の減少(取り崩し)として借方に記入します。
・貸倒額を、売掛金勘定などの減少として貸方に記入します。



●貸倒引当金残高 < 貸倒れ発生額
貸倒引当金で全て充当できない場合は、貸倒引当金の残高を超える部分(超過分)は、
貸倒損失勘定で処理をします。
・貸倒引当金残高部分を、貸倒引当金勘定の減少として借方に記入します。
・超過分を、貸倒損失勘定の発生として借方に記入します。
・貸倒額を売掛金勘定などの減少として貸方に記入します。




-貸倒引当金の設定対象-
貸倒引当金は、期末に残高となっている債権に対して設定されるものです。
つまり、前期以前に生じた債権に対して設定されているものです。

●前期以前に生じた債権が貸倒れた場合
・貸倒引当金で処理をします。
  前もって費用に計上しておいたものを取り崩します。
●当期に生じた債権が貸倒れた場合
・貸倒損失勘定で処理をします。
  貸倒引当金は期末に残高となった債権に設定するものなので、
  当期に生じた債権については、まだ設定されていないことになります。
  貸倒損失として、当期の費用として処理をします。     

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