固定資産/減価償却とは

【減価償却】
企業が所有する固定資産は、使用したり時間の経過により価値が減少していきます。
この価値の減少分を、毎期末に費用として計上すると同時に、その固定資産の帳簿価額を
減額させる手続きのことを 減価償却 といいます。 減価償却には、3つの側面(機能、役割)があります。

・費用配分
  損益計算書において、毎年度の収益と費用を対応させるため、
  収益に貢献している期間に費用を配分します。
・資産評価
  貸借対照表において、年度末に資産を金額に評価します。
  その際は、価値の減少分を控除した残りの部分が貸借対照表に記載されます。
・資金回収
  減価償却費という費用として計上されていますが、現金が出ていく費用ではありません。
  (現金は固定資産を購入した時に出ていっています)
  つまり、減価償却費の分は資金として回収されていることになります。


【減価償却資産と非原価償却資産】
資産には、減価償却できる資産とできない資産があります。
〇減価償却資産
  ・時間の経過や使用により価値が減少する性質のため、減価償却を行う固定資産をいいます。
  ・建物、備品、車両運搬具
〇非減価償却資産
  ・時間の経過や使用により価値が減少しない性質のため、減価償却を行わない固定資産をいいます。
  ・土地


【定額法】
計算方法にはいくつかの種類がありますが、日商簿記3級の出題区分は 定額法 になります。
毎期、同じ額の減価償却費を計上する方法です。
減価償却は3つの要素に基づき計算します。

・取得原価
  固定資産の購入代価と付随費用の合計額になります。
・耐用年数
  固定資産の使用可能年数です。
・残存価額
  耐用年数経過後の価値をいいます。償却せずに残す部分です。
  通常は取得価額の10%です。

【会計と税法】
基本的には、個人事業も法人も企業会計原則に基づいた記帳をします。
〇企業会計原則
  企業の経済活動を一定の方式によって記録・分類・総括する方法として社会的に認められたものです。
  簿記は企業会計原則の内容に従って会計処理を行っています。
  会計は収益と費用の差額である 「 利益 」 を正しく計算することが目的です。
〇税法
  税法は、個人事業や法人が企業会計原則で計算した利益に種々の調整を加えて
  課税所得を計算する規定を設けています。
  益金と損金の差額である 「 所得 」 を正しく計算することが目的です。

実務上は、最初から税法に従って会計をし、税金計算をしやすくしています。

※減価償却について
会計的には残存価額は10%ですが、さらに税法では残存価額を超えて5%まで償却が認められていました。
(残存価額は取得原価の10%、償却可能限度額は取得原価の95%)
平成19年度の税制改正で、償却可能限度額と残存価額が廃止されたことにより、
平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産(旧定額法)と、
平成19年4月1日以降に取得した減価償却資産(定額法)とで、償却の方法が変わります。

それをふまえて、日商簿記検定でも残存価額10%だけではなく、残存価額ゼロ円という問題の場合もあります。

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